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ロゴ制作の費用について(2)

前回に引き続き、なぜ ロゴ制作が高額になると言われるのか、探っていきます。

前回、ご利用環境に応じて仕上げる図面が多くなるために工数が増え、総額として値段が上がっていくこととお伝えしました。
同じ絵柄なのになぜ? と思われる方も多いでしょう。
変化するのはせいぜいロゴに使用する素材ごとの色の指示だけでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

確かに、コンピューターの画面上では幾どそれぐらいの違いかもしれません。
webと名刺などでのご利用ぐらいであれば、
RGBとCMYKの出力差を補正して、指定してやれば済む場合も多いでしょう。
しかしながら、ビジネス展示会などの大きなパネルや店舗などとなってくると話は少し変わります。

画面上では 5cm 程度で見ていたデザイン画を 50cm や 100cm、或はそれ以上の大きさで利用することも出てくることかと思います。その際、画面上では小さすぎて見えなかったいろいろな粗が目立ってくることも考えられます。

画面上で5cm のロゴを20倍の 100cm に拡大し、利用すると言う想定でみてみましょう。

まず第一に、フォントなどのスペーシング。
もしもスペーシングに 0.5mm のズレがあった場合、それは 1cm のズレになります。
デザインによってはタテヨコの動きに繊細に対応する必要が有るかもしれません。
さらに、20倍大きくなることでロゴ全体のスペーシングの印象が変わることもあり得ます。

次にデータの細部がどうなっているか、と言うこと。
既成フォントを利用してロゴやサインを計画していくことは多分にあり得ると思います。
既成フォントの精度が良ければ問題ないですが、フリーフォントなど場合によっては大きなキャンバスでの利用を想定していないかもしれません。20倍にして粗が見えてくるような場合には当然修正が必要になります。

最後に全体のマージンはどうか。
webと看板・サインなどでは、例えばロゴの外周のマージンの取り方が大きく異なって来ますよね。
かといって看板・サインでは法律上のサイズが決められている場合も多いですし、看板やサインを設置する以上は少しでも大きく見せたいということも有るでしょう。そのバランスをとどうとるのかが大切です。

このようなことを加味して、ロゴ制作ではご利用環境に応じて工数が変化して来ます。
大きく作って小さく見せるだけで済むならそれでも良いかもしれませんが、かえって詰まりすぎてしまうデザインも有るかもしれません。それぞれ形状も色も違いますので一概に決められないですよね。
実寸でテストして見てみなければ分からないことが多いのです。

また、チェーン店など複数展開していく場合においては 店舗ごとに調整が必要かもしれませんし、その際にも出来るだけ差異は少なくしたいものです。その為、サイズや利用する環境ごとにスペーシングその他のデザイン利用のルールを定めたデザインの管理帳を作ることも有ります。またこれは他のデザイナーに仕事を引き継ぐとしても、とても大切なルールになります。そしてこの管理帳を作る為にももちろん工数が必要となります。

こうしたデザイン利用のルールのことをコーポレートアイデンティティ( =CI )と呼び、正しく管理・運用していくことが大切です。デザインは資産ですから。大手企業の場合にはこのCI管理帳までを制作することが幾どです。そうしなければ日本国内はおろか、海外でのデザイン運用などに影響を及ぼしてしまいますから。

CI管理について利用する側も制作する側も、大手だからコストが高いと言う訳ではなく、デザイン資産を守る為にこそ高額になる可能性が高い、と考える方が自然かと思います。それに対してデザイナーは共に協力する立場です。デザインをどう生かすのかは運用するかたの理解が一番大切です。

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